
英会話の新法則が明らかに
私がニューヨーク生活のほとんどを過ごしたアパートの窓から、最後の夜景を見る晩だった。
ブラインドをあげて、室内を暗くして、外の林立する高層ビルの窓の灯りをいつまでも見ていた。
出発の前日泊めてもらった友だちの家から発進したタクシーは、すぐに懐かしい私の家の前を通り過ぎた。
焦げ茶色のノッポビル。
行きつけのコーヒー屋が1階にあって、奥まったロビーには人なつこいドアマンがいる。
どの角度から見ても思い出いっぱいの風景だった。
また遊びにきても、この景色はあまり変わっていないだろう。
でも、「私の街」としてここを見るのは、これで本当に最後なんだと思った。
ショーウィンドウをのぞきながらよく散歩した57丁目の広い通りを、マンハッタンに到着したときとは反対に、東へ向かった。
空港に着くのが早すぎて、カウンターにはまだ誰もスタンバイしていなかったが、早い到着にはわけがあった。
航空便で送ると高いから、帰りは船便以外すべて持ち帰りにしたため、荷物が膨大に膨れあがってしまったのである。
これでも、身のまわりの物をずいぶん人にあげたり処分したりしてきたし、買い物も極力抑えたつもりだったのだが、ダメだった。
前日に慌てて2箱船便に回したが、1人で本当に持てるのか、まだ微妙だった。
帰国してすぐ要りそうな資料も多いし、コンピュータ関係の機器やフロッピーが思いの他かさばった。
結局、スーツケース、スポーツバッグ2つ、コンピュータ一式、それにバイオリンなどの、計7つが、私が一人で身体中にブラ下げる荷物の総量であった。
これらをスムーズに移動するのは不可能なので、私は列の先頭にそれにしても、預けられる荷物の限度を超えないかが心配だった。
「エコノミーは無料で2つまで」と言われ、大きいのを4つ預けようとしていた私は困ってしまった。
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